自然災害や地震による被害の影響もあり、ここ数年間のあいだで火災保険と地震保険の改定が実施されています。
火災保険の補償も、自由に付帯できる商品も増えており、適切に補償内容を選ばないと保険料の負担が大きくなってしまうことあるのです。
この記事では、火災保険の選び方についてステップごとに7つのポイントを紹介していきます。
火災保険を選ぶステップは
- 保険の対象を決める
- 建物の構造級別を判別する
- 補償範囲を決める
- 建物の保険金額を決める
- 家財の補償額を決める
- 保険期間を決める
- 地震保険を付帯するか決める
この流れに沿って、注意点や抑えたいポイントについて解説します。
初めて火災保険に加入する人や、見直しを検討している人は、ぜひ参考にしてくださいね。
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火災保険の選び方
1.保険の対象を決める
火災保険を選ぶとき、はじめに決めるのが保険の対象です。
火災保険と聞いて思い浮かぶイメージは住宅(建物)だと思います。そのため多くの人が「建物」のみに火災保険を掛けるイメージが強いです。
しかし火災保険の対象は「建物」の他に「家財」にも掛けることができます。
火災保険を契約するときは、「建物」と「家財」をセットにしたり、「建物」または「家財」どちらか1つだけ契約することも可能です。
したがって、火災保険の対象は以下の3パターンから決めることになります。
- 建物のみ
- 家財のみ
- 建物と家財の両方
一般的な選択肢として、一戸建てや分譲マンションを購入した人は、「建物」と「家財」の両方に掛ける人が多いです。
賃貸物件に住む人は、「家財」だけを対象として火災保険を掛けるのが一般的です。
「建物」だけ火災保険に掛ける人のケースとしては、誰も住んでいない空き家に対して契約する人が多いです。
購入物件は「建物」と「家財」の両方、そして賃貸物件は「家財」のみに掛けるのが基本となります。
火災保険の対象については下記の記事で詳しく解説しています。
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2.建物の構造級別を判別する
火災保険料を算出する上で、大きな割合を占めるのが「建物の構造」です。
燃えやすい構造の住宅は、火災に対する耐火性能が低いので保険料率が高くなり、逆に燃えにくい構造の住宅は火災に強いと判断できるため、保険料率が低くなるよう設定されています。
この住宅の構造を判断するのに使用される規定が「構造級別」です。
2010年の改定によって、複雑だった構造級別もシンプルになり、柱の材質で判定できるようになりました。
構造級別は3つの構造パターンに分かれます。
構造級別 | 建物の種類(材質) |
---|---|
M構造 (マンション構造) |
コンクリート造の共同住宅 など |
T構造 (耐火構造) |
コンクリート造の戸建住宅(耐火建築物)または、鉄骨造の戸建住宅(準耐火建築物)、省令準耐火建物に該当するツーバイフォー住宅 など |
H構造 (非耐火構造) |
木造の共同住宅、戸建住宅 など |
出展:日本損害保険協会
火災保険料は、M構造が安くH構造が最も高くなります。
M構造とH構造の保険料の差は約4倍の違いが出てくるのです。
構造級別を選択するときの注意点
構造級別を選ぶときに注意すべき建物は、2×4(ツーバイフォー)住宅と一部が木造で建てられている住宅です。
じつは木造住宅であっても耐火性能が高いと証明できる条件が揃えば、T構造として認められることがあります。
しかし、中には木造だからH構造だと安易に設定してしまう方が多いのです。
無駄な保険料を支払わないためにも、不動産や建築会社に建物の構造をきちんと確認しておくようにしましょう。
建物の構造級別ついては下記の記事で詳しく解説しています。
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3.補償範囲を決める
火災保険は、建物の構造や階数、立地場所によって災害を受けるリスクが異なってきます。
こういったことから、現在の火災保険では色々なニーズに対応できるよう、基本補償+その他の補償は任意で付帯できるところが多いです。
そのため、ご自身が住む建物構造や立地場所などで起こりうるリスクに対して補償を付けたり外したりすることができます。
一般的な補償範囲と内容は以下の通りです。
補償範囲 | 補償内容 |
---|---|
火災 | 失火やもらい火、放火(※)などによる火災の損害を補償。 ※契約者または被保険者などが放火犯の場合補償されません。 |
落雷 | 落雷による損害を補償。 |
破裂・爆発 | ガス漏れなどによる破裂・爆発の損害を補償。 |
風災・ひょう災・雪災 | 風災・ひょう災・雪災の損害を補償。 ※風災:台風、旋風、暴風、暴風雨等をいい、洪水、高潮等を除きます。 ※雪災:豪雪、雪崩(なだれ)等をいい、融雪洪水を除きます。 |
水災 | 台風や豪雨等による洪水などの水災の損害を補償。 ※地震による津波を除きます。 |
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等 | 自動車の飛び込みなどによる損害を補償。 |
漏水などによる水ぬれ | 給排水設備の事故や他人の戸室で生じた事故に伴う漏水による水ぬれ損害を補償。 ※給排水設備自体に生じた損害は補償されません。 |
騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為 | 集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償。 |
盗難による盗取・損傷・汚損 | 盗難による盗取(とうしゅ)や損傷・汚損などの損害を補償。 |
不測かつ突発的な事故(破損・汚損) | 誤って自宅の壁を壊した場合などの偶然な事故による損害を補償。 すり傷などの外観上の損傷または汚損であっても、その機能に支障をきたさない損害は補償の対象となりません。 |
「火災」「落雷」「破裂・爆発」「風災・ひょう災・雪災」は基本補償として必ずセットしてあり、その他の補償範囲について必要に応じて付帯する火災保険が増えています。
ここで注意しなければいけないのが地震による損害です。
火災保険では、地震による損害は補償の対象外となっています。
地震による損害に対しての補償は、別途「地震保険」を付帯しなければいけないことを覚えておきましょう。
補償範囲の決め方ですが、例えばマンションの高層部に住んでいる場合は、浸水のリスクが低いから水災を外して保険料を抑えるといった方法もあります。
しかし、リスクが低いだけであって必ず起きないという保障はないので、国土交通省が公開している「ハザードマップ」などで、あなたが住んでいる地域が災害警戒区域でないかなど調査しながら判断するといいでしょう。
また、補償範囲は保険会社によって取り外しできる補償が異なるので、範囲が決まったら保険会社ごとに適用できるか確認しておくのも大切です。
火災保険の補償範囲ついては下記の記事で詳しく解説しています。
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4.建物の保険金額を決める
火災保険では建物に対して保険金額を決める必要があります。
保険金額を低く設定すれば火災保険料を安くすることができますが、それでは万が一の時に十分な補償を受けられない可能性があります。
また、建物の保険金額は好きな金額で設定できるわけではないのです。
建物の保険金額は「評価額」を基準にして決めることになっています。
そして評価額の算出方法は2通りあります。
評価基準 | 説明 |
---|---|
新価 (再調達価額) |
新品に建て直すための価額 |
時価 | 時価 = 新価 - 時間経過による消耗分 |
ほとんどの火災保険会社では「新価」で評価するようになっています。
そして、万が一のことを考えると、評価額の制限いっぱいまで保険金額を設定することをオススメします。
注意点として、たとえば評価額が3,000万円だった場合、もっと保険金額をあげたいからといって4,000万円に設定することができません。
保険金額は評価額内で設定することになるのを覚えておきましょう。
火災保険の保険金額ついては下記の記事で詳しく解説しています。
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5.家財の補償金額を決める
家財の補償額は、所有している家財の合計金額を積算するのが基本となります。
しかし、この方法では家財一つ一つを評価していかなければならず、時間と手間が掛かってしまいます。
そこで世帯主の年齢や家族構成などに応じて、平均的な評価額を決める「簡易評価」が用意されています。
世帯主の年齢や家族構成で決める評価額イメージ
出展:日本損害保険協会
建物の所有形態や占有面積などに応じて決める評価額イメージ
また、建物の所有形態(所有・賃貸の別)や占有面積などに応じて平均的な評価額を決める方法を用意しているケースもあります。
出展:日本損害保険協会
保険会社ごとに評価額が変わってきますが、まずは大まかに決めてあと、保険代理店などで見積書作成したのちに相談しながら調整していくといいでしょう。
家財保険の保険金額ついては下記の記事で詳しく解説しています。
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6.保険期間を決める
火災保険は契約期間を1年契約から最長10年まで選択することができます。
契約期間を2年~10年と長期契約をすることで、契約年数にごとに割引率が適用される「長期割引」があります。
支払いは契約期間分を一括で支払わなければいけませんが、少しでも長く契約期間を設定することで火災保険料の節約にもなります。
長期契約の保険料は、年間保険料に「長期係数」と呼ばれる割引係数を用いて算出します。
損保ジャパン日本興亜の火災保険長期係数
保険期間 | 長期係数 |
---|---|
1年 | 1.00 |
2年 | 1.85 |
3年 | 2.70 |
4年 | 3.55 |
5年 | 4.40 |
6年 | 5.20 |
7年 | 6.20 |
8年 | 6.85 |
9年 | 7.65 |
10年 | 8.50 |
※2016年10月現在
出典:損保ジャパン日本興亜
長期係数は各保険会社ごとに異なりますが、仮に保険期間を10年とした場合の長期係数が8.50なので、8.5年分の保険料で10年間の保険に加入できるということになるのです。
ちなみに長期係数は意外と頻繁に変わるので、事前に調べておくようにしましょう。
火災保険の保険期間ついては下記の記事で詳しく解説しています。
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7.地震保険を付帯するか決める
火災保険だけでは、地震・噴火またはこれらによる津波による建物の火災や損壊などは、その発生予測が困難なことなどから、火災保険では補償されません。
地震に対する損害に対して備える保険が地震保険となります。
地震保険は政府と損害保険会社が地震保険に関する法律に基づいて共同で運営しているので、どの保険会社で付帯しても保険の内容と保険料は同じとなっています。
地震保険のメリットは、支払われた保険金の使い道が幅広いので、津波で流された自動車の買い替え費用や、ペットが震災で怪我をしてしまった際の治療費などに充てることが可能です。
地震が起こりやすい地域に住んでいる方は加入しておくべき保険と言えるでしょう。
まとめ
この記事はいかがでしたか?
今回は、「火災保険の選び方」について紹介しました。
この7つのポイントを1から順序通り選んでいくことで、火災保険で考えなければいけない内容をしっかりと網羅することができます。
ある程度、あなたに最適な火災保険がどのようなものかイメージが固まってきたら、各火災保険の見積書を作成してもらい、比較してみましょう。
なぜなら、同じ補償内容でも、火災保険会社によって保険料が異なるからです。
1社1社火災保険の代理店で、見積書の作成依頼をすると手間と時間がかかります。
すぐに複数社の見積書を作成してもらうなら「火災保険一括見積もりサービス」を上手に活用しましょう。
見積書が集まったら、各社の火災保険の補償内容と保険料を比較しながら、検討することで、あなたに合った最適な火災保険を効率よく見つけることが可能です。
せっかく手に入れたマイホームですから、万が一に備えて納得のいく火災保険を見つけてくださいね。